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リンパ浮腫とは何か

リンパ浮腫は、「リンパ管や節の先天性の発育不全、または二次性の圧迫、狭窄、閉塞などによって、リンパ流の阻害と減少のために生じた浮腫」とされています。

先天性のものを含めた原因不明の一次性と、明らかな原因のある二次性に分かれますが、後者がほとんどを占めます。

症状と経過

足、かかとおよび脚または手背および腕の膨張が一般的に見られます。ほとんどの場合、左右差があり、原則的に疼痛、色の変化、潰瘍および静脈のうっ滞はありませんが、むくみが急速に進んだ場合の皮膚の緊満感、重圧感、シビレやむくみに起因する静脈うっ滞のために皮膚が青紫色になってくることもあります。月経、および温暖または寒冷で悪化することもあります。

分類と特徴

A.一次性リンパ浮腫

下肢リンパ浮腫
下肢リンパ浮腫
上肢リンパ浮腫
上肢リンパ浮腫

原因の明らかでないものを指しています。一般的に発症時期から以下の3つに分類されます。

1、先天性 生まれつき、または生後2年以内に発症

2、早発性 35歳以前に発症。一次性のほとんどを占める。

3、遅発性 35歳以後に発症。二次性の影響も否定しきれない。

B.二次性リンパ浮腫

リンパ管の炎症、腫瘍の浸潤、手術によるリンパ節の切除などのため、リンパ管が閉塞して生じるもので、以下のようなものがあります。

1、悪性腫瘍のリンパ管およびリンパ節への転移
2、リンパ節の外科的切除
3、リンパ管炎
4、深部静脈血栓症に伴うリンパ浮腫
5、外傷性リンパ浮腫

リンパ浮腫のでき方

リンパ管という排水管が機能的に詰まってしまったり、一時的に(機能的に)閉じてしまったりすると、リンパ流は停滞します。リンパ管に入れなかった蛋白は血管外の皮下組織(組織間隔と呼んでいます)によどんでしまうことになり、組織間隔中の蛋白濃度は徐々に高くなってきます。

しかし、組織間隔に蛋白が多くなっただけでは、脚や腕はむくんできません。なぜむくんでくるかというと、蛋白が水分をひきつける性質を持っているからで、これを膠質浸透圧(膠浸圧)と言います。

治療と予防

人間の体は巧くできていて、一部のリンパ管が障害されても、なんとか蛋白を心臓に戻そうとして一生懸命、働くようにできています。リンパ管をできるだけ活発に働かせることによって、むくみ(組織間隔中の蛋白と水分)は減少しますし、副行路(脇道)も発達してくるわけです。

リンパ管(リンパ液の流れ)を活発にする方法は、基本的には、むくんだ脚や腕を挙上する、動かす、または刺激(リンパドレナージ、リンパ管へのマッサージ効果)することで1、「細く」して、弾性ストッキングまたはスリーブを着用することで、2、「維持」することです。


「リンパ浮腫の治療2011」 廣田彰男先生著より抜粋