2010年にリンパ浮腫治療における用語の統一が行われ、「マッサージ」はいわゆる肩や腰の凝りをとるための「マッサージ」であり、リンパ浮腫における「マッサージ」は優しく皮膚をさすように行うもので、本質的には異なるものなので、「リンパドレナージ」として区別しようということになりました。
ドレナージとは「排液」という意味で、むくみの液(リンパの液)を皮下から排液するという意味です。
動かすのは自分自身で動かすだけでなく、いわゆるマッサージ(リンパドレナージ)も効果があります。リンパドレナージは足または手の先端から中心部(心臓)に向けて行います。
特に二次性リンパ浮腫では、鼡径部(そけいぶ)または腋の下のリンパ節を切除してあり、この部分のリンパ液の流れが悪いことが根本的な原因となっています。ですから、鼡径部または腋周辺部分のリンパ液の流れを良くしてあげると、当然全体のリンパ液の流れは良くなります。
逆に、その部分の流れが悪いままで、リンパ節までのリンパ管の流ればかり活発にしますと、リンパ液は鼡径部または腋周辺のリンパ節の手前で溜まってしまい、かえって流れが悪くなってしまうことがあります。
したがって出来るだけ鼡径部または腋周辺部分を中心部(心臓)へ向けて行い、最後に足や手のドレナージを行います。さらに、リンパドレナージの基本から考えると、リンパ管が最終的に静脈に合流する左鎖骨窩から始めるとされています。
1、強く揉まない。手指、手のひらを皮膚に当て、軽く・ゆっくり・優しく皮膚を動かすようにさする。
※強く揉むことで炎症が起こる場合もあります。
※軽く・優しく、さするだけでもリンパ液は流れます。
2、炎症(発赤・発熱・悪寒等)がある時はしない。
※炎症を悪化させる事があります。
3、特に浮腫の気になる部位は、回数を多く、時間をかけて行って下さい。
リンパドレナージは、浮腫に対して完全な治療ではありません。いくつかのケアの中の1つとして行って下さい。また、すべての浮腫に対して適応があるわけではありません。心臓性、腎臓性、内臓性等からの浮腫は禁忌の場合がありますので注意が必要です。
「リンパ浮腫の治療2011」 廣田彰男先生著より抜粋